茨城県農業参入等支援センター

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株式会社フジエダファーム

フジエダファーム

2020/2/1 掲載

株式会社フジエダファーム

地域:鉾田市
支援内容:法人化(2019年8月設立)
主品目:ミニトマト
経営面積:36a

 

理系の大学院出身者が展開するスマート農業

大学院でコンピューター関連の分野を研究していた代表取締役の藤枝善則さん。「ものづくりは分業制。大きなシステムの一部分しか作る機会がない。自分で一から完成形まで携わる仕事がしたい」と一念発起。大学院を中退し、曽祖父の頃から始まった家業を継ぐことに。父親が8haの圃場で鉾田の特産品であるさつまいも、人参やカブをメインに手掛けていましたが、藤枝さんは将来的に栽培の効率化が見込め、伸び代があるミニトマトにターゲットを絞ります。そして国内トップレベルの栽培技術を持つ施設園芸機器メーカーでの約2年の研修を経て、合わせて36aの大型鉄骨ハウス内で糖度8〜12度以上の「キャロルスター」を中心とした3品種のフルーツトマトの栽培に着手しました。「次世代施設園芸拡大支援事業」の補助事業などを活用しながら、水やりや温度調節などの制御システムを導入。スマート農業によってこれまでに例のない夏場を含む長期どりを可能にし、年間計38tの高収量を実現しています。

農業に精通した専門家と二人三脚で会社設立へ

藤枝さんが就農して以来、親子別々で個人事業主として経営していましたが、ミニトマト栽培の規模拡大と離農した親戚の農地の管理を目的とする人員確保、後継者不足に悩む親戚の農家の支援、各種補助事業の活用のため、いずれ経営を統合して法人化する方向で意思を固めていた藤枝さん。平成29年度いばらき農業アカデミー「リーダー農業経営者育成講座」、「法人化促進講座」に参加し、徐々に準備を進めていきました。もちろん法人化をするのは、藤枝さんにとって初めてのこと。そのため、茨城県農業参入等支援センター事業による専門家派遣の制度を活用しました。経営計画の立案を支援する中小企業診断士、法人化した場合に加入必須の社会保険について説明してくれる社会保険労務士、個人事業から株式会社へ移行するための手続きのサポートをする司法書士、農業関係に詳しい税理士の紹介を受け、円滑な法人化を実現。そして2019年8月末、念願の株式会社フジエダファームが誕生しました。
法人設立を専門家との二人三脚で実現させた藤枝さん。「農業参入等支援センターから紹介された農業関係に精通している専門家なので安心感もありましたし、説明も分かりやすかったです。一から自分だけで法人化をしようとしたら諦めていたかもしれませんが、お陰様で滞りなく法人化できました。この先も税務、農地の譲渡などを相談する際は同じ先生方にお世話になる予定です」。

法人化で広がる規模拡大への挑戦

今後は最新鋭の統合環境制御システムや栽培技術を取り入れながら、10a当り15t以上、年間計50tのミニトマトの収穫を目指すフジエダファーム。鉾田市は丘陵が多く、ハウス建設に適した平地が意外と少ない地域。「法人化したことで信用が増えれば、平らで広い圃場が確保できる可能性が高まる。そうして市内に拠点を増やしていきたいです」と藤枝さん。また県の「儲かる農業ステップアップ事業」を活用したパッケージデザインのリニューアル、ドライトマトやセミドライトマトのオイル漬けなどの加工品の商品開発も検討しており、法人化のメリットを活かした規模拡大が当面の目標です。
都内のスーパーやホテルに固定ファンを持つフジエダファームのミニトマト。今後も、味を落とさず、量を増やしながら、高品質・高収量のフルーツトマトを多くの人々へ届けることに挑戦していきます。

フジエダファーム

代表取締役 藤枝善則さん

フジエダファーム

統合環境制御システムで管理された大型鉄骨ハウスで栽培

フジエダファーム

味にこだわるフジエダファームのミニトマト

フジエダファーム

今後の目標は更なる規模の拡大

フジエダファーム

鉾田地域農業改良普及センターの鈴木専門員(中央)と加藤主任(右)がサポート