茨城県農業参入等支援センター

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株式会社五郎助農場

株式会社 五郎助農場

地域:筑西市
支援内容:第三者継承、法人化(2021年8月)
主品目:水稲、麦、ソバ、ネギ、梨ほか
経営面積:70ha

 

数多くの農地を預かる、地域の中核農家

広大な平野と河川がもたらす肥沃な土地に恵まれ、茨城県でも有数の農業産出額を誇る筑西市。株式会社五郎助農場の代表を務める高島健二さんは、筑西市関本地区で長く農業を営んできました。1980年代前半に集落の小規模農家で肩を組み、経営を安定させるため営農組合を結成。集落内で農地を借りてスタートし、米や梨を筆頭に、次第に規模を拡大していきました。ところが、時が経つにつれはじめは5人だった組合員は一人、また一人と減ってゆき、2000年頃にはついに高島さんのみが残ることとなってしまいました。高島さんはそれでも、地域農業を守ることに強い使命を持ち、担い手のいなくなった農地を引き受け続け、今ではなんと140名を超える地権者から農地を任せられている大規模農家となりました。
そんな、地域農業の中核的存在である高島さんが、頭を悩ませていたのが、次代の後継者がいないことでした。子どもたちはいるものの農業を継ぐ意思はなく、「他にやりたい人がいたら譲る」と言っても手を挙げてくれる人はなかなか見つかりません。そこで、第三者への事業継承を目指すべく、県の農業参入等支援センター事業を利用し、継承に向けた準備を進めることにしました。

第三者継承を目指し、法人化からスタート

後継者候補の確保を目指すにあたり、事業継承の準備段階としてまず法人化を進めることとなりました。法人化することで、経営の可視化のみならず、安定雇用もしやすくなります。また、農地を借りる際も会社の名前になるため、高島さんが築いてきた地域からの信頼を、次の世代に引き継ぎやすくなるメリットも考えられます。法人化に当たっては、中小企業診断士による事業計画策定のサポートや、税理士による税務面のアドバイスに加え、社会保険労務士からは労務管理の重要性や就業規則の作成要領を学び、また司法書士より法人設立の具体的な手続きについてもレクチャーを受けました。「どれもこれも分からないことだらけだったので、とにかく全部がタメになりました」と高島さん。書類の作成など苦労する面も多くありましたが、娘さんの助力も得ながら、2021年8月に無事、法人登記を行うことができました。会社名は「株式会社五郎助農場」。五郎助とは、高島さんが農業を営む地域の名称であり、この地の農業を守っていきたいという高島さんの強い想いが込められています。

安心と信頼の下で農地の継承を進めていく

事業継承に向けて、できることから少しずつ歩みを進めていた高島さんですが、肝心の後継者候補探しについてはなかなかうまくいかず苦心していたそうです。そんな中、法人化を目前に控えた2021年3月に嬉しい進展がありました。筑西地域農業改良普及センターから、以前紹介された安達さんが、前職を退職するタイミングで、正式に雇用することになったのです。安達さんは元々筑西市内で就農を希望しており、さらに話を聞いてみると、なんと高島さんが引き受けている中に安達さんの実家の畑もあることが判明しました。高島さんはこの縁をとても喜び、親近感を覚えたとのことです。安達さんも順調に仕事をマスターし、法人化と同時に後継者候補として正式採用となりました。「脱サラして農業をやろうと思い、市外の葉物野菜農家で3年働いたあとに、地元の筑西市で農業をやりたいと思って戻ってきました。これまでやってきたものとは全く別の作物なので、イチから勉強という気持ちで高島さんに教えてもらっています」と話す安達さん。「とにかく田んぼの場所を覚えるのだけでも大変なんです」とも言うように、膨大な地権者から農地を預かる高島さんの仕事を受け継ぐのは容易なことではありませんが、Webの地図情報技術を活用するなど工夫しながら奮闘しています。働く上では「今まで高島さんがしっかりとやってきたから法人化出来たんだな、という安心感があった」と、法人化のメリットも感じたそうです。
地元の農業を共に守り、盛り上げたいという想いを同じくして五郎助農場を営む高島さんと安達さん。耕作放棄地を作らず、この土地で、この土地の人が食べるものをこれからも作っていきたい——そう願う高島さんは、新たな担い手に次代のバトンをこれから受け継いでいく予定です。

株式会社五郎助農場代表
高島健二さん(左)。
右は社員の安達さん。

五郎助周辺は湿地が多く、
扱いが難しい農地も多い。
土地の特性や特徴、
経験則もしっかりと継承

安達さんは農耕車の運転に必要な
大特免許も取得。
頼りになる次代の担い手として
活躍が期待される

梨畑からネギに転作した圃場
安心・安全な食べ物を届けたいと
堆肥作りからこだわる