第三者継承したい
第三者継承とは
近年、大規模な専業経営でも後継者不足が生じてきています。しかし、後継者がいないために農業をやめてしまうと、農地や施設が有効に利用されなくなり、それまでに築かれた栽培技術などのノウハウも失われてしまいます。
その一方で、新しく農業を始めたいと考える人も増加しています。しかし、農地の獲得や技術習得に時間がかかることが多く、十分な所得を得られずに農業をやめてしまう例も見られます。
これまでの「親から子」への世襲による経営継承や、従来型の新規参入だけでは地域農業の維持・発展は難しくなっています。そのため、農業をやめる人と始める人を結びつける新たな継承方式が必要になっています。
このような中、家族以外の人(新規参入者)に対して、農地や施設・機械などの「有形資産」と、技術・ノウハウ・信用などの「無形資産」を一体的に受け渡していく「第三者継承」の取り組みが、近年各地で行われています。
第三者継承の道筋
第三者継承の事例
酪農経営
ノウハウと施設・機械をセットにして継承
酪農(牛25頭)を営むFさん(70歳)は、自身の体調を崩したことをきっかけに廃業を検討していましたが、酪農ヘルパーとして10年の実務経験があるSさん(38歳)から経営継承をしたいという申出があったことから、専門家派遣を活用して第三者継承を行いました。
ポイント
- 事業移譲者Fさんが将来にわたり円滑に事業伝承していくため、人、資産、目に見えにくい経営資源など、経営継承に必要な事項について、中小企業診断士から助言を受けて経営継承計画を作成した。
- これまで培われてきたFさんの生産技術を円滑に継承するため、引継ぎ期間を設け、生産のノウハウや牛の特徴等を学んだ。
- 牛はFさんから有償譲渡により継承し、農業用施設及び機械はFさんとSさんで賃貸借契約を締結し継承した。契約書は、弁護士から支援を受けて作成した。
- 継承後は、牛の導入や牛舎の設備の更新等に費用がかかることが想定されるため、初期投資を極力抑え、安定した経営ができるよう税理士等から助言を受けた。
- 出荷については、Fさんの販路を引継ぐこととした。