茨城県農業参入等支援センター

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三井不動産ワールドファーム株式会社

三井不動産ワールドファーム株式会社

2023/3/1 掲載

三井不動産ワールドファーム株式会社

地域:筑西市
支援内容:異業種から参入(2020年8月設立)
主品目:キャベツ、ブロッコリー、ホウレンソウ、ほか
経営面積:約30ha

生産・加工一体型経営農業で新しい街づくり

三井不動産ワールドファーム株式会社(以下MFWF)は、三井不動産が有限会社ワールドファーム(本社つくば市)と共同出資して設立した会社です。複合的な街づくりを手がけてきた不動産デベロッパーである三井不動産ですが、2019年より新規事業として農業への参入計画が本格的にスタートし、翌2020年6月にMFWFを設立しました。MFWFでは、農業における担い手の減少や耕作放棄地の増大などといった地域課題の解決のために、提携先の有限会社ワールドファームをはじめ地域行政の方々や農業を長く営まれている地域の農家の方々にお教え頂きながら、将来的には農業を基点にした広域型の新たな街づくりを目指しておられるとのことです。野菜の生産圃場と冷蔵・冷凍加工工場を1セット(ユニット)とし、従業員が圃場の運営と工場での加工の両方を担う「生産・加工一体型」の経営で、効率的で高い生産性の実現に向け日々努力しており、今後の活躍に期待したいと思います。当初は有限会社ワールドファームが既に営農していた筑西市周辺の約6haの圃場を承継し、野菜の生産を始め、2021年秋には筑西市内の下館第二工業団地内にカット野菜冷蔵加工工場も建設しました。この場所を選定した理由について代表取締役の岩崎宏文さんは「県から紹介を受けて場所を決めました。圃場までは約15分と好立地ですし、排水設備が整っていたことも良かったですね」と話します。

地域の信頼と協力を得て規模拡大、100haを目指す

約6haから始まった圃場は、翌2021年には20ha、2022年には約30haにまで広がりました。「始めてから半年ぐらいは畑を貸してほしいとお願いして増やしていたのですが、1年経つ頃には手が足りず回し切れないぐらいに地域の方からたくさんお声掛けいただくようになりました」と岩崎さんも話す通り、目標に向け好スタートを切っています。
ここまで順調に規模拡大を推し進めることが出来た要因のひとつについて、岩崎さんは、「地域の皆さんは圃場の状態をよく見てくださっていて、農業に真摯に取り組んでいる会社だと見て頂けるようになってきたのだと思います。」と話します。出来る限り良いものを作ろうという想いを社員一同が共有して農業に向き合ったことが、地域から信頼を得ることにつながりました。

持続可能なスマート農業事業で就農スタイル改革

MFWFで特徴的なのは、従業員ほぼ全員が農業未経験だったことです。MFWFでは、複数のスタッフで組織的に行う集団農法を採用し、農業経験者も未経験者も同じように作業を完遂できる仕組みづくりをしています。また、岩崎さんは「社員が毎週のように農業改良普及センターに通って、土壌診断をお願いしました。今後はその土壌診断のデータを使って土づくりのマニュアルを作成し、誰でも同様なレベルの品質の作物を生産できるようにしていきたい。」と話します。さらに、農業用ドローンやロボットトラクターなどの機械の導入も積極的に検討し、熟練度によらない作業の効率化・平準化により、新規就農に対するハードルの緩和にも繋げようとしています。新規就農者の育成においても、更なるステップアップを目指すMFWF。今後も、MFWFで活躍する社員の増員を見込んでおり、「ぜひ地元の皆さんにチャレンジしていただきたいです」と岩崎さんは新たな仲間に期待しています。

三井不動産ワールドファーム株式会社

代表取締役の岩崎宏文さん。
農業未経験ながら自らも圃場で畑仕事を学び、大型免許と大型特殊免許も取得したそう。

三井不動産ワールドファーム株式会社

ブロッコリーの圃場。
海外からの輸入に頼る冷凍野菜の国産化プロジェクトも推進する

三井不動産ワールドファーム株式会社

カット野菜冷蔵加工工場。
総床面積は約300坪、最大で1日10トンの加工生産が可能

三井不動産ワールドファーム株式会社

キャベツの加工の様子。
現在、従業員全員が野菜の生産現場、加工工場作業、および品質管理や帳票作成等のデスクワークまでマルチタスクをこなしている。