茨城県農業参入等支援センター

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株式会社TGファーム

株式会社TGファーム
2024/3/5 掲載

株式会社TGファーム

つくば市 2021年設立
主品目:イチゴ
経営面積:10a

地元の信用を得るため、奮闘し続けた2年間

いちご栽培を行う「株式会社TGファーム」(以下、TGファーム)は、東京都に本社をおく携帯電話販売代理店の最大手である「株式会社ティーガイア」(以下、ティーガイア)が設立した農業法人であり、令和3年(2021年)4月より、つくば市の賃貸ハウスにて営農を開始しました。
農業とは全く関係がない異業種でありながら、農業分野への参入を決めたのは、再雇用者や障がい者等の人材の活用を行いながら「地方創生・地域社会への貢献」を行うため、とのことでした。
しかし、TGファームが農業法人として設立され、現在に到るまでには「様々な苦労があり、特に苦労したのは地元の信用を得ることだった」とTGファームの代表取締役である大津氏は語ります。
最初は異業種からの参入ということもあり、どの機関の窓口に行っても正しく営農が継続できるのか不安に思われることが多く、なかなか農業を始める準備ができなかったとのことです。
そこではじめに、他の農業法人に協力を依頼し、月一回程度指導を受けながら、イチゴの栽培を始めました。栽培指導を受けながら約2年間つくば市の賃貸ハウスにて営農を継続し、認定農業者の資格を習得したことで地元の信用を得ることができたとのことです。

黎明期を支えた茨城県農業参入等支援センター及び県の存在

農業を開始した時期に苦労したのが人脈と販路の開拓でした。
茨城県農業参入等支援センターからは、農地の紹介のほか、全農いばらきとの顔つなぎの支援も受けたとのことです。「全農いばらきとは現在、作物の出荷や人材交流も行っており、茨城県農業参入等支援センターに顔つなぎをしてもらったおかげで、良好な関係を築けている」と大津氏は語ります。
また、1年目は販路が確保できていなかったため、収量の半分しか販売ができず、400~500㎏のイチゴを処分することになってしまいました。そのような状況の中、県から地元の大手スーパー等の販路の紹介をいただき、2年目以降は安定してイチゴを供給・販売することができたとのことです。

型にはまらない手法での地方創生を目指して

今後TGファームは、県南農林事務所より紹介された阿見町の農地を法人名義で賃借し、2025年に移転、さらなる発展を目指す計画です。そしてTGファームは、様々な農業事業のビジョンを思い描いています。そのひとつは、「今後は自分達だけで作物の生産をするだけではなく、地元の農家の作物を買い取り、自分たちの開拓した販路に流通するような地域商社を目指していきたい」というものです。また、併せて、「他の農業法人やスタートアップ企業等に自分たちの圃場を試験農場として提供するなど、連携をしていきたい」とのことです。
地元の企業や農業者と共存しながら、型にはまらない地方創生を目指すTGファームに、期待が寄せられています。

株式会社TGファーム 代表取締役 大津陽一さん

株式会社TGファーム 代表取締役
大津陽一さん

現在、10aの広さでイチゴを営農中であり、来年(2025年)には阿見町に移転する予定とのこと。

現在、10aの広さでイチゴを営農中であり、来年(2025年)には阿見町に移転する予定とのこと。

イチゴを管理する様子

イチゴを管理する様子。
人の手が必要な部分もある一方で、IoT等の機器を用いて管理できる部分は機械に任せるといった形で効率よく作業しているとのこと。