茨城県農業参入等支援センター

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ほしいもBASE TAKASHIYA(HIB)

ほしいもBASE TAKASHIY

 

群雄割拠の干し芋産地、独自の戦略で高級路線と顧客を掴む

近年、焼き芋や干し芋の人気が高まっています。茨城県では、その原材料であるかんしょ(さつまいも)の生産を拡大するべく「茨城かんしょトップランナー産地拡大事業」を実施するなど、支援に力を入れているところです。特に干し芋は、国内シェアのおよそ9割が茨城県で生産されており、茨城県はまさに、群雄割拠の干し芋産地です。黒澤太加志さんは、県内の代表的な干し芋産地であるひたちなか市で、祖父の代から続く干し芋農家に育ち、2015年にその農地や機械・設備を受け継ぎ農業をスタートさせました。元はバイクショップのメカニックという全くの異業種からの参入だった太加志さんは、「日本一かっこよくておいしい干し芋のブランドを作る」という目標を掲げ、研究を重ね、高品質な干し芋を製造し、さらにその経歴を生かした独自の販売戦略やブランディングで商品の差別化を進めてきました。

更なるステップアップを目指すために専門家派遣を利用

就農1年目から想定していた売上を上回る成績を達成した太加志さんは、商品の品質を向上させながら生産・販売量を拡大していきました。創業3年目には顧客リストが1,000人を超え、念願のアメリカンガレージの建設に着工しました。そんな折、更なるステップアップを目指すため、県の農業参入等支援センター事業を利用することにしました。
まず行ったのは、中小企業診断士との相談で、太加志さん自身が策定した事業計画について、専門家の観点から経営診断してもらうことでした。太加志さんは、「目標売上を具体的な数字で提示してもらえたことで、自分の経営の方向性が正しいことの裏付けとなり、自信になった」と言います。
また、社会保険労務士から従業員の雇用や労務管理についてのアドバイスを受けたことも非常にためになったと言います。「常日頃からスタッフとは信頼関係をしっかり築けていると思っていましたが、それでも万が一のトラブルを避けるために、雇用時に労働条件等についての書類を作っておくことの重要性を理解した」とのことで、専門家のアドバイスをきっかけに労働条件通知書をきちんと準備するようになり、経営者として労務管理について安心感を増すことができたそうです。

拡大増産から質の向上へ、今後は法人化も視野に

太加志さんの努力が実を結び、オリジナルブランド「ほしいもBASE TAKASHIYA(HIB)」は、「いばらきデザインセレクション2019」に選定されました。黒一色の箱にロゴのみを配する斬新なパッケージデザインの採用や、貯蔵庫兼販売所の内外装をスタイリッシュなアメリカンガレージテイストにすることなど、一貫性を持たせてコーディネートした試みが評価を受けました。また、2021年には近郊農家でも前例のない干し芋自動販売機を市内に設置し、2022年からは2号機を東京都の三鷹駅北口に設置し、テレビに取り上げられる等話題になっており、既存のイメージに捉われない斬新な戦略を次々と打ち出して、右肩上がりの成長を続けてきました。
一方で、成長を続けてきたからこその新たな課題も出てきます。かんしょの栽培面積を拡大し収益を上げようとした太加志さんですが、現在の加工場の規模では収穫したかんしょすべてを加工することが叶わず、足止めを余儀なくされてしまいました。原料となる「べにはるか」の栽培方法から干し芋製造、保存方法に至るまで細部にこだわったため、加工が間に合わない状況になってしまったのです。しかし、そのこだわりがあるからこそ太加志さんの商品は高く評価されました。今は数を増やす方向から質を上げる方向へと舵を切りつつ、今後のビジョンも見据えています。「ここまでがむしゃらに走ってきましたが、経営基盤をしっかりと地固めして加工場の拡大に向けて安定した利益と資金を確保することがこれからのミッションです。さらに次のステップに進むためには従業員も増やさなければいけない。法人化も視野に入れて考えていきます」と太加志さんは言います。2022年には干し芋のオフシーズンである夏場の商品として冷やし焼芋を新たに発売しました。革新的なアイデアと情熱で干し芋業界をリードするトップランナーとして、太加志さんの活躍が期待されます。

ほしいもBASE TAKASHIYA(HIB)

地域:ひたちなか市
支援内容:経営改善、労務管理(2018年〜)
主品目:かんしょ
経営面積:4ha

ほしいもBASE TAKASHIYA

ホシイモベースタカシヤ代表・黒澤太加志さん
ひたちなか市後継者クラブにも所属する地域の担い手

ほしいもBASE TAKASHIYA

バイクショップと勘違いし訪れる人もいるという
スタイリッシュなアメリカンガレージ

ほしいもBASE TAKASHIYA

ひたちなか市内に設置した干し芋自販機
人との接触を避ける消費者需要にも合致し好評

ほしいもBASE TAKASHIYA

黒をベースに、太加志さんがデザインした
ロゴを配するボックスやグッズ
ブランド力で日本一を目指す