株式会社インプレスライフ

株式会社インプレスライフ
地域:東海村
支援内容:法人化、事業計画の策定
主品目:かんしょ、水稲
経営面積:約5.4ha
オリジナル商品の開発で独自の路線を切り拓く
株式会社インプレスライフは、「かんしょ」および「水稲」を生産する複合経営体で、干し芋やそれらを使用した加工品、長粒米粉加工品などの新商品の開発などにも取り組んでいます。先々代が戦前より、かんしょ等の栽培を始め、先代が干し芋の自家加工に取り組みました。屋号を「圷(あくつ)ほしいも直売所」として販売面にも注力。安全性を求めた土づくりから加工まで生産工程は手作りにこだわる徹底ぶりで、そのクオリティの高さから商品は多くの人気を集めており、中でも干し芋をプレスした商品『硬派なほしいも ぷれすた』は、様々なメディアで注目され数々の賞を獲得してきました。
令和6年、先代の圷正生さんから息子である正樹さんへの継承を進めはじめ、令和7年11月の法人化を機に現在は正樹さんが経営を引き継ぎ、事業に取り組んでいます。
「生産から加工・販売まで」 自分たちの強みを維持していくために
正樹さんは令和5年度まで東海村の職員で、農業についてはあまり経験がありませんでした。父の正生さんから農業を教わりながら徐々に代替わりしていくつもりが、正生さんが体調不良により現場を離れることになり、急ピッチで承継に取り組む必要が生じました。そこでまずは県の『いばらき農業アカデミー』でさまざまな講座を受講して農業の技術と経営について学びました。
「当時は父がかんしょを作り、加工販売を私が担当していました。いわゆる6次産業について、それまでは生産(1次)+加工(2次)+販売(3次)の足し算で6次だと思っていましたが、これは掛け算だとわかりました。かんしょの生産ができる父が一線を退き1次産業が『0』に。0×2×3=0。これでは産業は成り立ちません。自分たちの“強み”が生産から加工・販売までできていたことだと改めて気付かされました」と、語ります。
経営継承に向け、アカデミーで学ぶ中で知った茨城県農業参入等支援センターの専門家派遣を利用し、より専門的な支援を受けることにしました。はじめの経営診断での「技術や品質は良好である一方、今後の発展のためにはしっかりとした事業計画と法人経営の知識が必要である」との結果を受けて、中小企業診断士と社会保険労務士の派遣により、経営を拡大するために必要な事業計画書の作成支援、従業員確保に向けて法人化や雇用に関するアドバイスを得ました。
「中小企業診断士さんの派遣では将来の収支のシミュレーションをしていただきました。商品を値上げすると売れにくくなるとどうしても思ってしまいますが、試算ではある程度値段を上げても利益がしっかり出るという結果になり、“経営”はこういうことを理解してやっていく必要があるんだなと実感しました」と、専門家のアドバイスで自分の中でやるべきことが明確に整理され、経営者としての意識も高まったようです。
支援後には5か年の事業計画書を作成し、正樹さんを代表として法人「株式会社インプレスライフ」を立ち上げました。
地域資源を生かした『地産地“笑”』の事業展開にチャレンジ!
「役所で農政担当課に従事していたこともあり農家とは近い立場のつもりでしたが、実際に自分が農家になるとまだまだ距離があったことがわかりました。農家のことを行政の立場にいた頃は“生産者”と呼んでいましたが、実際の農業は単なる生産にとどまらず、“業”として営まれているものであることから、“農業者”と呼ぶべきだと思っています。私は行政と農家のギャップを埋められる存在でありたいです」と正樹さん。
株式会社インプレスライフで農業事業に取り組むほか、地域資源を活用した事業にも意欲をみせます。圷ほしいも直売所の法人化を進める傍ら、令和6年には知人らと「合同会社 笑(わらい)」を設立しました。
「茨城県は東京の台所と呼ばれ、多種多様な野菜や果樹などの農産物を生産しています。地元の農産物を“常陸乃国の恵”として、新たな土産品として買っていただけるようなことを考えています。自社で生産したお米と県内の農産物を具材として活用したおにぎり屋を開いたり、地元野菜や果樹を『ぷれすた』のようにプレスしたお菓子を作ってみたり、収穫体験ができる観光農園を開いてみたり、それこそ、国道6号線沿線という地の利を生かした“畑の駅(仮称)”など、やりたいことがたくさんあります。合同会社名は、そんな“地域の恵みで、地域を笑顔に”したいという想いで名付けました」と事業アイデアを数多く抱える正樹さんです。
株式会社インプレスライフはこれからも“農業” と“地域”を基盤としながら、企業理念に基づき様々な事業を取り入れる方針です。経営体としての強度を上げながら、地域資源を再発掘し、磨き、笑顔に変えるような事業に取り組んでいくことが期待されます。

干し芋の加工場の様子

干し芋やオリジナルの商品たち

圷さんが携わる経営体のビジネスモデル
