株式会社カモスフィールド

ホウレンソウを収穫する株式会社カモスフィールドの皆様(左下が大橋社長)
株式会社カモスフィールド
地域:笠間市、常陸大宮市
支援内容:経営計画の策定、支援
主品目:コマツナ、ホウレンソウ
経営面積:約7.9ha(ハウス133棟)
「微生物のお世話係」を自任する有機農業へのこだわり
笠間市と常陸大宮市に農場を構える株式会社カモスフィールドでは、代表取締役の大橋正義さんが、コマツナ、ホウレンソウなどの葉物野菜を中心に、お客様のオーダーに応じて、スイカ、メロン、サトイモ、フダンソウなど、多種多様な農産物で有機農業に取り組んでいます。大橋さんは、30歳を契機として民間企業を退職し、県内の農業法人で経験を積んで農業で儲けが出せるという実感を得た後、荒廃農地が多く農地確保の目途が立つ笠間市で就農しました。以後、17年間農業に従事し、平成28年には法人化しました。現在の経営規模は、笠間市と常陸大宮市の合算で、ハウスが約3.4ha(133棟)、畑が約4.5haにまで拡大し、約40名(パート含む)の従業員が働いています。
「微生物のお世話係」を自任する大橋さんは、「野菜作りには人よりも微生物が大事という視点から農業に取り組んでいます。目に見えないものを相手にしているので、土の中にいる微生物という原因を突き詰めることが重要であり、その結果が野菜となります。」と話します。社名の「カモス」も土の発酵や微生物の繁殖を意味する「醸す」が語源となっており、そのようなキャッチフレーズに惹かれたお客様から声掛けがあり、やがて取引の輪が広がっていったとのことです。
専門家の支援を契機に事業計画や目標を従業員と共有
県の農業参入等支援センター事業を利用した令和4年当時、同社は常陸大宮市で新たな農場の運営を始めたところでした。経営の安定化に向けて、経費の削減、利益の確保に向けた売上と借入の比率、人材の定着化といった課題を抱える中で、専門家の支援を求めたとのことです。
同社では、中小企業診断士の助言を受けながら、SWOT分析による経営分析や5カ年事業計画の策定に取り組みました。大橋さんは、中小企業診断士の指摘に対して、「そうだろうな」と納得できることが多く、先を見据えた事業計画を立てることは有意義だったと言います。また、従業員が一緒になって、自社の強みと弱みを分析し、目標を立てたことで、従業員の意識を高めるきっかけになったことから、現在も定例ミーティングの中で従業員と目標を共有し、一人ひとりの役割を明確にするようにしているそうです。
地域の有機農業の旗振り役として
同社の常陸大宮市の農場は、当初こそ土づくりや安定的な収量の確保への懸念がありましたが、大橋さんの熟練した生産技術に加えて、農業参入等支援センター事業による専門家や普及指導員からの経営面や技術面での助言、畑地かんがい施設の整備といった行政からの支援等もあり、売上も安定したことから、5カ年事業計画の目標については、令和6年には前倒しで達成する見込みとのことです。
大橋さんは、今後は既存の農場の規模を拡大するとともに、経済産業省の事業再構築補助金の採択を受けたことから、オーガニック小麦を使ったパン製造事業への展開も進めたいとの意気込みを語りました。オーガニックの農産物については、常陸大宮市がオーガニック給食を推進しているなど需要が高まっているところであり、株式会社カモスフィールドには、地域の有機農業の旗振り役としての活躍が期待されます。

有機農業に取り組む大橋社長
「微生物のお世話係」が
キャッチフレーズ

収穫するホウレンソウは
微生物へのお世話の結果

農場にはハウスと畑が並び
規模の拡大を見据える