茨城県農業参入等支援センター

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株式会社アドバンフォース

株式会社アドバンフォース

 

「農福連携」で雇用拡大や地方創生へ

アドバンフォースグループは、2015年にひたちなか市で創業し、障がい福祉サービス事業を中心に、プロ野球BCリーグの「茨城アストロプラネッツ」の運営や飲食業等、地域貢献をテーマとした多角化経営を進めています。
2021年には、障がい福祉サービス事業の自主事業を増やし、ハンディキャップを持つ社員の雇用拡大や賃金アップを図るために本格的に農業参入しました。福祉事業には、地域からの孤立、就労や活躍の場の不足や低賃金、一方で農業には高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増加という問題点がありますが、「農福連携」することで、双方の課題を解決しながら利益を生み出し、グループのテーマである地域貢献に繋げています。

自治体や関係機関と強固に連携

株式会社アドバンフォースでは2018年から本社ビル近くの耕作放棄地を開拓した小規模な農園「あすとろファームいばらき」で採れた露地野菜を自社のカフェでの提供や、直売所等で販売していました。しかし、農業に本格的に参入しようとした際、社内に本格的な農業経験者はおらず、加えて、大規模な優良農地の確保や農業技術の習得、6次産業化といった事業の継続性を重視した準備など様々な課題に直面し、肝心の主品目も定まらない状況でした。
そこで茨城県農業参入等支援センターに相談し、品目選定や事業計画作成のアドバイスを受けました。農地については、笠間市に相談したところ、笠間市農業公社や農地中間管理機構を通して、笠間市内の畑や栗園を借りることとなり、6次産業化を見据えて農閑期に加工作業での労働力の平準化が図れる品目である栗やサツマイモを栽培することにしました。その後は笠間地域農業改良普及センターにも相談し、栗の安定的な栽培や品質の向上を促す生産技術の支援を受けています。
また、農業参入によりアドバンフォースグループ内での連携の場面が増えており、農作業や栗の加工には就労支援事業所の社員やアストロプラネッツの選手も参加し、アストロプラネッツの球団ファンとの交流イベントとしてサツマイモの苗植えや芋掘りイベントを開催し、福祉と野球と農業の三刀流を実践しています。

経営資源を活用して独自販路を構築。目指すは日本一の栗企業

髙野農業事業部長は「定植の時期、土壌改良のやり方、農地の選び方など、今までやっていた農業とは完全に違っていて、問題が発生すると、いつも県の担当者さんに何から何まで相談していますが、即レスポンスが返って来て、トントン拍子に事が運ぶので助かっています」と県の支援の良さについて語りました。
同グループでは今回の農業参入を、農福連携を通じて名産品の想いと誇りを守り継ぐ「TASUKIプロジェクト」と題し、自社生産した栗を「kasamarron(笠マロン)」と命名してブランド化を図っています。
人気フードジャーナリストをアンバサダーに迎えてPR活動の強化を図るとともに、生栗の他、むき栗やペーストの1次加工品の販売をスタートし、全国展開するホテルチェーン、都内の有名パティスリーと取引するなど、独自販路を構築しています。
笠間市内の廃校舎を活用したカフェやスポーツ施設を併設した宿泊施設も検討中で、栗の加工場や保管庫なども併設する方針です。
担当社員の海老澤さんは「まだ知識、技術、経験が浅く、お客様の要望に充分応えられていない課題が山積していますが、現段階での手応えも掴んでいます。今後も茨城県や笠間市、関係機関と強固な連携を続け、将来的には億単位の収益を誇る日本一の栗企業となるのが目標です」と意気込み、当面は15haの圃場で30トンの収穫を目指し、農業法人の設立も視野に入れながら規模拡大を進めています。
地域農業の担い手、そして新しい農業ビジネスモデルとして、アドバンフォースグループの挑戦に大いなる期待が寄せられています。

2022/2/4 掲載

株式会社アドバンフォース

地域:笠間市
支援内容:事業拡大、6次産業化
主品目:栗、さつまいも
経営面積:8.35ha

「アドバンフォースグループ」が運営する
プロ野球球団「茨城アストロプラネッツ」

笠間市の自社栗栽培圃場

栗加工の様子。茨城アストロプラネッツの選手も
作業に参加

球団ファンとの交流イベント