茨城県農業参入等支援センター

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株式会社要建設

株式会社要建設

2022/12/27 掲載

株式会社要建設

地域:常陸大宮市
支援内容:異業種から参入(2021年参入)
主品目:蕎麦
経営面積:約13ha

獲れたて、挽きたて、打ちたて、茹でたての「四たて常陸秋そば」

水戸市に本社を置く株式会社要建設は、1972年に創業し、建設業の他に開発事業、太陽光発電等の環境事業、不動産、土地利用や地域振興等のコンサルティング業、美容・健康事業、飲食事業、食品製造業、更には海外への進出と多角的な事業展開を行っています。

飲食部門では、茨城県を代表するブランド品種・常陸秋そばを使用したこだわりの蕎麦が好評です。

元々は仕入れた蕎麦の実を自社で製粉・製麺(挽きたて・打ちたて)し、店舗で茹でたてを提供していましたが、原材料である常陸秋そばの栽培も自社で手がけることで、より一貫した体制の構築を目指そうと農業への参入を決めたとのことです。

2020年2月、農業分野への参入に当たって、まず茨城県が主催した「企業の農業参入セミナー」に参加しました。その後、農業参入等支援センターへ相談し、いくつかの参入候補地を検討、その中で現農地である常陸大宮市野口の圃場を紹介され、2021年より「まちファーム」として蕎麦の栽培をスタートさせました。「県の支援を受けて、農業へ参入する計画を進めることができました」と髙野社長は話します。

まちの問題を共に解決していく第一歩としての農業

同圃場は、元々近隣の生産者が一人で蕎麦栽培を手がけていましたが、高齢のため2020年秋に撤退し、地域ではその後を受け継ぐ新たな耕作者を探していました。農地の紹介を受けた髙野社長はこの場所が気に入り、即断即決したそうです。約13haと、まとまった面積であったことも利点ですが、何よりも「県北エリアの地域課題である耕作放棄地問題の解決に取り組んでいきたい」という強い思いがあったといいます。「今後も常陸大宮市、そして県北エリアで耕作放棄地の借用を進め、ゆくゆくは5年後に50ha、10年で100haを目指して農地を広げていきたい。目指すは、常陸秋そばの日本一のメガファーマーです」と髙野社長は大きな目標を掲げます。

また、要建設では同圃場と同じ常陸大宮市野口地区で650坪の敷地面積を有する空き物件も新たに購入し、農業のみならず飲食や宿泊、加工工場等自社事業を展開させることも計画中です。加工品については、生そばだけでなく乾麺やそば茶、そば焼酎、そばかりんとうなど多彩な商品アイデアを挙げて開発中です。それらの原料となる蕎麦の生産から加工までを全て同地域で担うことで、新たな雇用の創出や地域再生への取り組みにも繋がることが期待できます。

初年度の苦労から、飛躍の2年目へ

2022年、2年目を迎えたまちファームの蕎麦生産は「昨年よりも多くの収量が確保できる見込み」と好調です。自社飲食店で提供する蕎麦のほとんどをまちファーム産の常陸秋そばでまかなうことが叶いそうだと、スタッフ皆で喜びを共有しています。初年度こそ、蕎麦作りについての知見が乏しく、また、雨が多かったことも影響して、思うような収量が得られず大変苦労されたとのことですが、2年目には天候に恵まれたことに加え、本業の土木技術を活かし、暗渠管を敷設して水はけを良くしたり、水路を通したことでよりよい条件下での栽培ができたとのことです。また、常陸大宮地域農業改良普及センターに協力を仰ぎ、土壌診断を実施して不足している養分を補ったことなども改善が図られた要因でした。今後は生育データを逐次蓄積し、スマート農業技術も活用し、味の良さと収量を両立させた蕎麦の生産を目指していく計画です。

要建設では補助事業を活用し、今年度からトラクターならびにコンバイン各2台を導入、更なる効率化も実現しました。日本一美味しくて日本一の収量を誇る常陸秋そば農家になるという夢に向かって、着実に足場を固めて歩んでいます。

「常陸秋そばは茨城の大切な宝。
食のブランドも守っていきたい」
と栽培に意欲を燃やす髙野社長

広大な農地全体の地権者は50名。
地権者への説明会も参入等支援センターがサポートした。

9月末〜10月上旬には蕎麦の花が見頃。
鑑賞のビューポイントに看板を置き、
観光資源としてもPRする。

「蕎麦処まち庵」で提供する蕎麦。
健康をテーマに、農薬や化学肥料を
使わない有機栽培に
取り組んでいる事も特徴。