茨城県農業参入等支援センター

イラスト

株式会社恊心

ほ場を管理する高𣘺代表取締役

ほ場を管理する高𣘺代表取締役

2024/12/10 掲載

株式会社恊心

常陸太田市(本社:守谷市) 2019年設立
主品目:水稲(米粉加工用)
経営面積:1.3ha

化学肥料や農薬を使用しない水稲栽培

「株式会社恊心」(以下、恊心)は、守谷市に本社を置き、食品小分け包装を行っている企業です。恊心では、耕作放棄地の増加や担い手不足等の様々な農業を取り巻く問題に危機感を持っていたことから、農業に参入しようと計画しました。茨城県で参入する農地を探索する中で、茨城県農業参入等支援センター(以下、支援センター)の存在を見つけ、問い合わせをいただきました。
恊心は、化学肥料や農薬を使用せず、光合成細菌等の自然の力を活用して水稲を栽培しています。収穫した米の一部は、米粉に加工して販売を行います。今回の参入にあたっては、常陸太田市笠石地区の農地一体をまとめて借り受けることができたおかげで、周辺農地から農薬が飛散してくる心配がなく、できるだけ自然に近い状態での栽培を実現することができました。

市や県の支援のもと、覚悟を決めた笠石地区への農業参入

支援センターでは、営農計画作成に向けての支援を行い、いくつかの参入候補地を紹介した結果、常陸太田市笠石地区への農業参入を検討いただきました。その後、県北農林事務所や常陸太田市などの関係機関と連携して、現地案内や地権者との合意形成が図られるよう支援を行いました。恊心の代表取締役(当時は取締役工場長)である高𣘺氏は、笠石地区への農業参入について、「市や県の職員と現地を訪れた時に、笠石地区の状況を目の当たりにした。笠石地区の農業を終わらせてはいけないという思いで、当該地で営農していこうと覚悟を決めた。今後も永続的に営農できるような体制整備を図っていきたい」と決意を語ります。

笠石地区集落を存続させるために

現在、笠石地区集落では3世帯が暮らしています。集落を存続させるために、高𣘺代表取締役は、「集落に人を集めるために、カフェ、キャンプ場、市民農園をやってみたい。さらには空き家を活用し、夏休みの間に生活に困窮した家庭や集団生活に馴染めない子どもたちを預かり、農作業の体験してもらい、収穫後の農産物を送る、というような活動も行いたい。この活動に参加してくれた子供達の中から将来の担い手が生まれることを期待している」と意気込んでいます。
数年に渡り保全作業のみだった農地を再生し、水路等の復旧作業を行いながらも1作目の水稲栽培が順調に進み、笠石地区に再び自然豊かな田園風景が広がりました。笠石地区集落の地域活性化の観点からも、今後の活躍に期待が寄せられています。

常陸太田市笠石地区のほ場の様子

常陸太田市笠石地区のほ場の様子

化学肥料や農薬を使用しない自然農で水稲を栽培

化学肥料や農薬を使用しない自然農で水稲を栽培

機械のメンテナンスは全て自身で行う

機械のメンテナンスは全て自身で行う