茨城県農業参入等支援センター

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株式会社ユタカファーム

株式会社ユタカファーム

 

地元雇用創出のための農業参入

「株式会社ユタカファーム」は、茨城県内で建設業を営む「ユタカ建設工業株式会社」が設立した農業法人であり、建設業と繁忙期が重ならないカンショを栽培し、労働力の平準化のため干し芋の加工・販売を行っています。
石井社長は、働く意欲のある高齢建設作業員や地域の高齢者の雇用創出をしようと考え、高校時代に農業科で学んだことを活かし、農業参入に挑戦しました。
農業参入にあたっては農地の確保が課題であり、まずは、地元水戸市の知人や茨城県農業参入等支援センターに相談したところ、那珂市から2.0haの農地を紹介されました。
当該農地には8名の地権者がいたため、支援センター、那珂市、県央農林事務所、農地中間管理機構と連携して地権者を集めた説明会を開催し、ユタカファームが農業参入計画を説明したところ、地域貢献に繋がる農業参入の内容や行政が間に入る安心感もあり、地域外の企業参入でも農地を借りることができました。
ユタカファームは令和元年から本格的に農業参入し、1年目は2.5haの農地でカンショの栽培を始め、その後は、丁寧な圃場管理を見た周辺の地権者からの依頼や県央農林事務所からの紹介等で2年目は6.5ha、3年目は18.0haと着実に規模を拡大しています。

自社の土木技術を活用した農業経営

ユタカファームが急速に規模拡大できた大きな要因は、本業の土木技術によって一般の農家さんでは難しい背丈以上の雑草が生い茂るような荒廃農地を再生し、土壌が固く水はけが悪い土壌でもカンショ栽培が可能な圃場に整備できたことです。
さらに、茨城県で令和元年度から始まった「茨城かんしょトップランナー産地拡大事業」もユタカファームの規模拡大を後押しすることにつながりました。
当事業はカンショの生産振興を図るため、①カンショを栽培する生産者に農地中間管理機構を通して農地を貸す地権者への補助、②荒廃農地を再生してカンショを栽培する生産者への補助、③カンショの規模拡大を目指す生産者が農業機械や貯蔵庫を整備する際の補助、④カンショの生産拡大のための技術指導を行なうもので、ユタカファームではこれらの事業を活用しています。
さらに、農業参入によって荒廃農地の再生以外にも、ユタカ建設とユタカファーム両社間でのインナーコミュニケーションが活性化する相乗効果も生まれており、建設業の閑散期には建設作業員が大型ダンプで堆肥の運搬や、圃場で苗の定植を手伝うなど人材交流も行われています。

事業の多角化と今後の展望

ユタカファームでは水戸市内の自社工場で1日あたり600~1,000kgの原料を干し芋に加工しています。
干し芋加工については、石井社長も未経験でしたが、自ら干し芋農家を訪ね歩いて加工のコツを教えてもらったり、いろいろな乾燥の条件を研究した結果、高品質な干し芋を作ることができるようになり、県内のデパート、工場直売所、ECサイトで販売し、全国各地から注文が相次いでいます。
ユタカファームでは干し芋の安定生産のため、将来的には30haの経営面積を保持し、連作障害を避けるため10haは休ませ、常に約20haの圃場で400トンの収穫量をキープしたいと考えています。
また、規格外品は焼き芋加工しての販売やJAを通じてデンプンに転用してフードロスを防ぎ、干し芋加工の残渣はバイオマス発電への活用を検討するなど、地域農業の担い手としてSDGsにも積極的に取り組んでいく方針です。
石井社長は「建設業も農業も、泥臭いけれども楽しいです。農業参入には先行投資による累積赤字がありましたが間もなく解消される見込みです。利益が出るまであと数年はかかりますが、次の一手として、カンショと輪作できる小松菜や、高収益が見込めるイチゴの栽培といった複数の品目にもチャレンジし、最低でも3億円以上の売上高を出したいですね。」と経営者と農家の視点のバランスが取れた経営を展開していく予定です。

株式会社ユタカファーム

地域:水戸市、那珂市、ひたちなか市
支援内容:異業種参入、規模拡大、6次産業化
主品目:カンショ(さつまいも)
経営面積:23.5ha

株式会社ユタカファーム
代表取締役の石井登さん

カンショ収穫の様子
石井社長自らスタッフを牽引する

干し芋加工の様子

平干し、丸干しの干し芋