茨城県農業参入等支援センター

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緑と風の農園

 

代表 高柳秀樹さん

緑と風の農園

行方市 2012年設立
主品目:トマト・米
経営面積:約1.5ha

 

早期退職、Uターンしてトマト加工品の開拓へ

都内で大手建設機械製造会社に勤務していた代表の高柳秀樹さんは、定年後に行方市へUターンし、実家の田畑を継いで6次産業化を目指していました。しかし2010年に兼業農家の父親が他界。翌年の福島第一原発事故の影響で風評被害を受けた茨城の農作物の再起を図ろうと、2012年に早期退職を決意し、帰農しました。そして水戸市内の農業専門学校で本格的に農業を学んだ結果、トマトと米の2品目にターゲットを絞ります。地域のトマト農家での研修後、いよいよ栽培に乗り出しました。「父が所有していた農業機器やビニールハウスがあり、必要最小限のベースが出来ていた。3人の子どもは全員社会人。失敗してもリスクは少なく、チャレンジできた」と高柳さん。トマト加工品の製造に伴い、夫婦ともに茨城県農産加工指導センターで学び、2013年度の茨城県アグリビジネスモデル支援事業計画に認定。2014年に納屋の改修費の半分を補助され、回転鍋や冷蔵庫を備えたトマト加工所が完成しました。

得意分野や周囲の助言を取り入れた販売戦略

2013年、和食がユネスコ無形文化遺産に登録。外国人観光客は年々増加し、東京五輪は開催間近でインバウンド需要も見込める。日本ではトマト加工品は未成熟の分野であることも踏まえ、和風調味料「トマト塩糀」を2014年に販売しました。都内の人気料理店や専門家のアドバイスをヒントにラインナップを増やし、2015年には辛口の「トマト塩糀スパイシー」、2019年春は減塩中でも気兼ねなく使える「トマト甘糀」が誕生。現在は親子3人で特別栽培による米と完熟トマトを生産し、6次産業の分野では高柳さんは主に企画や営業、妻は商品開発、次女は米糀づくりやラベルデザインを担当しています。目指すのは1次の規模を保ったまま拡大はせず、商品の付加価値やバリエーションの増加、農園での観光イベントによってリピーターを増やし、利益を伸ばす路線。また、地域の直売所やネット通販大手での直売に限定して値崩れを防いでいます。

レシピ開発、カフェの展開や法人化も構想中

「トマト塩糀」は初年度の販売本数約700本から着々と売上を伸ばし、国交省関東運輸局主催の地場産品認定会「TOKYO&AROUND TOKYO観光振興賞」も受賞しています。
「脱サラして就農した場合、自分がこれまで築いたキャリア、強みをどう活かすかで活路を見いだせる。農業技術は非常に高度。一から本格的に取り組むには困難なものなので、放って置いても実るような品目をあえて選ぶことも必要。あとは栽培が得意な人と組んでネットワークを作り、互いのリスクヘッジをしておくこと。農家以外の生活基盤を知らない人は、一旦外に出て、経営者、商売人の視点を持たなければならないと感じる。しかし、6次産業化を夢として人生を賭けるのはリスクが高く、子どもが学生の内は厳しい。出来る範囲から少し背伸びした規模で少しずつ拡大していくのがポイント」と高柳さん。
今後はレシピ開発を強化し、料理教室やカフェなどの飲食部門の展開を構想中。農園を次世代につなぐための法人化も視野に入れています。

トマトは桃太郎ファイト、フルティカ、りんかの3品種を栽培(写真はフルティカ)。トマト単体の販売も

会社員時代は農業雑誌を愛読。最新技術など常にアンテナを張って、就農に備えていたという秀樹さん

「トマト塩糀」はこだわりのヒマラヤ産クリスタル岩塩を使用した無添加無着色のオーガニック商品

「トマト塩糀スパイシー」は香りと辛さが際立つ小笠原父島産の島唐辛子を使用。新商品「トマト甘糀」も注目

2016年には国交省関東運輸局主催の地場産品認定会「TOKYO&AROUND TOKYO観光振興賞」も受賞

二人三脚の妻・祥子さんは家政科の大学を卒業。イタリアン料理が得意なこともトマトを選んだ理由に