茨城県農業参入等支援センター

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倉持ピッグファウム株式会社

 

倉持勝代表

2019/3/28掲載

倉持ピッグファウム株式会社

下妻市 2009年5月設立
主品目:養豚
経営規模:繁殖用種雌豚200頭、常時飼養頭数2,300頭

 

全日本豚共進会で3期連続入賞の養豚場

倉持ピッグファウム株式会社の代表取締役・倉持勝さんは茨城県立農業大学校を卒業後、1983年に家業である養豚の道へ。種雄豚や繁殖用種雌豚、子豚の運搬などで生計を立て、長男・朝成さんが高校卒業後に後継者になることが決まると、豚舎の規模を大幅に拡大。2005年に、豚の飼育から肥育までの一貫生産を開始しました。そして農業輸出国のニュージーランドへ研修に赴いた際、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)発効後の日本の農業に対する危機感を募らせ、6次産業化の構想を立てます。「しかし現状は土地もなく、資金力もない。ならば、今まで以上に美味しい肉づくりに力を入れよう」と親子で奮起します。こだわりは、豚の成長に合わせた健康管理を徹底し、地元の飼料米を配合した独自の飼料で育てた肉豚。茨城だけでなく、東京都中央卸売市場食肉市場にも供給し、年間約4,300頭を出荷しています。全国的に高く評価され、4年に一度の全日本豚共進会で3期連続入賞。茨城県種豚共進会においては、最高名誉賞(農林水産大臣賞)1回、名誉賞3回受賞している種豚場となっています。

補助金の大幅減額。店舗づくりは予想外の連続

全国食肉学校で加工技術を学んだ次男・暁成さんも跡を継ぎ、東京や名古屋の食肉店で約2年間の修行後、衛生管理者の資格を取得。自社で店舗を構えて豚肉加工品を販売する6次産業化へ本格的に乗り出します。しかし一年がかりで事業計画を作成中、国の補助金制度が当初の2分の1から3分の1と大幅に変更。店舗や加工場などの総工費が約1億3000万円に膨れ上がっていたため、「自社の農地なのに、雨水の宅内処理や遺跡調査など下地をつくるだけでも数千万。加工機械も目が飛び出る程の価格。まさに予想外の連続」とピンチに陥ります。前進あるのみと突き進み、各地の繁盛店を回って客の動線や間取り、棚から壁、天井など隅々までデザインをチェック。デザイナーに相談しながら、洗練された店舗空間に仕上げました。そして自社の豚肉を「伝説の下妻金豚」というブランド名で商標登録を取り、2016年4月に「ぶぅーぶー~豚職人工房~」のオープンに漕ぎ着けたのです。

5年先の売上目標をわずか1年で達成

精肉販売を始め、惣菜、ベーコンやソーセージなどの加工品は約50種類。地域情報誌などで広報活動をしながら、ブランド肉を好む首都圏の客も呼び込み、初年度の売上高は約6400万円。5年先に掲げた目標をわずか1年で達成する快挙を成し遂げました。経営コンサルタントや社労士など専門家のアドバイスを取り入れ、開店から前月の売上を割ることなく上昇。2年目は前年の40%増、3年目も10%増となり、今では会社全体の売上高の約40%を占める快進撃を続けています。「儲けばかりに走らず、出来る範囲で『外れのない商品』を生み出すのが賢明。農家は皆、『自分が作ったものが一番美味い』と思いがちだが、食味分析など活用して客観性や数字での根拠を持った方がいい。直接お客様と触れ合い、ファンづくりをするのも◎」と勝さん。 加工場の増設などでスタッフが働きやすい環境を整備しながら、「お客様の美味しい笑顔がみたいから、美味しい商品をお値打ち価格で提供」をモットーに、五感に響く商品開発に挑戦しています。

「豚の腕とモモ肉の部位は余りやすい。豚1頭を余す所なく、いかに効率よく加工するかが腕の見せ所」と暁成さん

ランドレース、大ヨークシャー、デュロックの三元交配種を肥育。幼少期は内臓づくり、出荷までは植物性飼料で育てる

シンボルツリーはクスノキ。「巨木になるまで末永く店が続くように」と願掛けされて植えられた

ターゲットは主に女性。駐車しやすいように幅を広く取り、立ち寄りやすい店舗づくりを目指したという

ソースいらずの「コロッケ」と常陸牛との合挽き肉を使った「メンチカツ」は定番人気の惣菜

人気のポークジャーキーは平成29年度茨城県農産加工品コンクールで金賞を受賞