茨城県農業参入等支援センター

イラスト

豊田りんご園 未来工房

 

未来工房の豊田拓未代表

豊田りんご園 未来工房

大子町 2016年設立
主品目:りんご
経営面積:約7.5ha

 

北関東屈指の面積を誇るりんご園の危機

県内有数のりんご名産地として知られる大子町。多くのりんご園がひしめく中でも、ひときわユニークな加工品を開発しているのが豊田りんご園です。2020年には開園から70年を迎える同園の経営規模は7.5haと北関東最大級の面積を有し、3,000本弱・90品種のりんごを栽培しています。来園者自身でもぎ取り体験が出来る観光果樹園として長年経営を行ってきた豊田りんご園が、初めて手がけた加工品は1992年ごろ、りんごジュース。冷夏の影響による生育不足のりんごが大量に余り、それをどうにか活用出来ないかと考えたのがきっかけ。更に1999年、東海村JCOで起きた臨界事故の影響で客足が激減したことを受けて、さらなる加工品をと一念発起して開発したのがアップルパイです。製菓関係の知人に協力を仰ぎながら、改良を重ねて完成した同品は大ヒット。秋のハイシーズンには、焼き立てのアップルパイを求めて長蛇の列が出来ます。「りんご園のパイなので、とにかくりんごたっぷり。1つのパイにふじりんご約2個分使います」と、同園三代目の豊田拓未さんは話します。

加工部門を新設、二本柱として園を盛り立てる

祖父の代から続くこのりんご園を継ごうと考えていた拓未さん。都内大学で観光経営学を学んだ後、2016年に大子へ戻りすぐに同園加工部門「未来工房」の代表に就きました。「まず難しかったのは働き手の確保。安定した量産体制を敷くことが課題でした」(拓未さん)。アップルパイは通年販売ですが、中に詰めるフィリングは生のりんごがある時期にまとめて加工しなければなりません。シーズン中は焼成担当に加え、加工のスタッフも確保しフル稼働で翌シーズンに備えます。右肩上がりで売上が伸び続けているアップルパイは今や看板商品。ですが、未来工房はその好調に甘んじることなく新商品を開発。2017年秋にはバウムクーヘンがラインナップに加わりました。新たに売店横へ工房を新設。器材の購入等にあたって、3つの補助制度を活用しました(6次産業化総合支援事業、いばらき産業大県創造基金、産地改革チャレンジ事業)。りんごひと玉のコンポートをバウム生地で包み込んだユニークな「りんごまるごとバウムクーヘン」は、2018年度県農産加工品コンクールで金賞も受賞した逸品です。

ひと目でわかるイメージ戦略も重要なファクター

商品の開発に加えて、拓未さんは同園のリーフレットやのぼり旗のビジュアルも一新。真っ赤なりんごを敷き詰めた背景に、豊田の頭文字「T」をりんごの木に見立てたロゴマークが目を引くデザインです。「県内のデザイナーさんを紹介して頂いて、お願いしました。ゆくゆくはアップルパイや、他のパッケージも統一してひと目で“豊田りんご園の商品だ!”って分かるようにしたいですね。その方がイベント等でも注目されやすいです」と拓未さん。
今後の目標は、近年市場に出回り始めたばかりという赤果肉品種の活用。りんごは年々新たな品種が登場しており、豊田りんご園では毎年新品種の苗木を購入しテスト栽培にチャレンジしているそう。「毎年同じものでは飽きられてしまうし、園の規模もまだまだ拡大していきます。中身まで赤い“赤果肉品種”は加工にも適していますし、何より目を引きます。新しいものにチャレンジするのはリスクもありますが、先んじてどんどん取り入れていくことで先手を打てるメリットは大きいです」。栽培と加工、それぞれを独立させたことで更に進化が望めそうです。

豊田りんご園のりんごのシーズンは例年9月末~翌年2月頃までと比較的長期。「幻のりんご」高徳も栽培

同園のりんご加工品はバラエティ豊か。ジュース以外は併設の自社加工所で製造している

パッケージにもこだわった「まるごとりんごのバウムクーヘン」は手土産にも好評を得ている

売店向かって右手に新設したバウムクーヘン工房。製造風景を外から見ることができるつくりにした

栽培も勉強中という拓未さん。収穫が終わった木は、余分な枝を剪定する。「次の実りを左右する重要な仕事です」

補助事業の情報などについては、常陸大宮地域農業改良普及センター等からも協力を得ている