茨城県農業参入等支援センター

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農業生産法人 筑波農場

 

代表取締役 小久保貴史さん

農業生産法人 筑波農場

つくば市 2006年12月設立
主品目:米・小麦・大豆
経営面積:70ha

 

おにぎりで収益増加やブランド力向上へ

農業生産法人・筑波農場の小久保貴史代表取締役は、筑波山の麓で380年余り代々続く米農家。先代から耕作面積、生産規模の拡大を図り、2006年に法人化に伴い、そのバトンを受け継ぎます。法人設立時から6次産業化の構想を抱きながら、独自のブランド米「常陸小田米」の生産、ICTなどを活用した先進的な農業経営を展開。独自の農業体験イベント活動をする中で消費者の意見に直接触れ、「米を食べてもらう場を作ろう」と動き出します。付加価値をつければ、10倍の値がつくことも夢ではない6次産業。経営は安定していましたが、収益アップや自社ブランド米の知名度向上のため、主におにぎりを扱う米に特化した店舗経営を試みました。そして登山やハイキング客で賑わう郷土の名峰・筑波山に出店場所を定めます。しかし筑波山道は古くからの地縁が深い地域。空き店舗を譲って貰うために、地域の会合や活動に足繁く通い、人脈を築く所から始めました。次第に信頼関係が生まれ、空き店舗の購入後、いざ改修へと進んだ所で思わぬ壁に突き当たります。

計画を一時断念。困難を極めた店作り

筑波山は自然公園法に基づき、景観や排水処理など様々な制約があり、総事業費は7000万円までに膨れ上がる自体に。6次産業化総合化事業計画書に要した時間は約1年。6次産業化プランナーの手厚いサポートもありましたが、これまで店舗経営や展開、法律や制度のノウハウが全くなく未知の世界。それ故、準備に不備があり、計画を一時断念したことも。しかし食品流通構造改善促進機構の2013年度農山漁村6次産業化推進(連携施設整備)事業の認可を無事に受け、補助金を活用して開店準備を進めていきました。つくば市商工会や地域のプロと店舗の施工やパッケージのデザイン等を一から制作。懸念していたスタッフの確保は、求人情報誌を通じて最低限の人数が集まり、友人にもサポートを依頼しました。店舗営業は主に妻の美幸さんが担当。そして2014年7月、筑波農場のアンテナショップ「筑波山縁むすび」をスタートさせました。

客目線を忘れずニーズに合わせた柔軟な対応

オープンから5年経った今、繁忙期は1日おにぎり1000個も販売する人気店へと成長。筑波農場の米を使用したあられ、米粉やラーメン用麺、スイーツ、焼酎など地元商業者とコラボレーションしながら新商品やレシピ開発も進めています。6次産業化後の経営状況は、「横這いに近い微増」。握り方の平均化、包装の仕方、販路拡大など課題は尽きませんが、大手スーパーでの売り場面積も広がるなど、ブランド力の向上に手応えを掴んでいます。また、つくば市が「つくばワイン・フルーツ酒特区」の認定を受け、耕作放棄地等でぶどうの栽培もスタート。ワインの産地形成、6次産業化を図っています。
「赤字からV字回復を狙うのではなく、健全経営から付加価値を付ける挑戦にした方が良い。まず加工品のサンプルを作って直売所に卸すことから始めるのも一つの手。その際、客目線に立って、ニーズに合わせた柔軟な対応が必要。全部一人でやろうとせずに、特に女性をメンバーに招き入れることが成功の鍵」と小久保さん。
「平成30年度茨城県農産加工品コンクール」で最高位の知事賞に輝いた自慢の勝負メシ。この成功を糧に地域の活性化に寄与していきます。

総生産量のごく少ない量の米で、ブランド戦略に成功

長年の夢だったランボルギーニ製トラクターを導入

自社ブランド米「常陸小田米」は粘りと甘みが豊かな最高級のコシヒカリ

筑波山縁むすびは筑波山神社参道入り口の目の前に立地

人気の釜炊きおむすびセット(600円)。山で食べるおにぎりは格別な味

常陸小田米を使ったあられ、うどんやラーメンもお土産に人気